石田国際特許事務所 株式会社イシックス
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石田国際特許事務所 パテントコラム バックナンバー
バックナンバーはこちらをご覧下さい。


【経産省、日米欧中韓間の特許審査を共通化】 5月9日 日刊工業新聞
 経済産業省は、日本、欧米、中国、韓国の5カ国・地域で、特許出願書類や引用文献の閲覧、電子出願を可能にする共通システムの開発を検討しているようです。
 去る6月6日には、フランスのコルシカ島において、日米欧中韓の5か国・地域の特許庁による5大特許庁長官会合(第5回)が開催され、各庁の包袋(ドシエ)情報等を仮想的に統合して一元的なサービスを提供する共通システムを構築するための“グローバル・ドシエ構想”について議論を進めていく、との合意があったようです(詳しくは、特許庁HP http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/kokusai/kokusai2/godai_kaigou2012.htm)を御参照下さい)。
? この“グローバル・ドシエ”システムが本格的に稼働するようになると、企業が各国に行った同一発明に係る特許出願に関して、審査官が、どの国や地域からでも、審査経過や拒絶された理由等を速やかに確認できるようになり、特許権の早期成立が図られるのみならず、各国・地域間での審査の均質化においても一定の効果があることでしょう。

【経産省、ASEANの商標・意匠の国際条約への加盟支援へ】 5月11日 日刊工業新聞
経済産業省は、ASEAN(東南アジア諸国連合)各国に対して、商標・意匠に関連した国際条約への加盟に向けた環境設備についての支援を行うようです。
具体的には、7月中旬にシンガポールで開催される日アセアン特許庁長官会合(第2回)で、ASEAN各国に対して、84カ国が加盟する商標の条約である「マドリッド協定議定書」、44カ国が加盟する意匠の条約である「ヘーグ協定」への加盟に向けた支援策を提案するようです。

  ASEAN各国において知的財産権の保護を受け得るか否かは、日系企業にとって非常に重要な問題ですが、上記のような支援により、ASEAN各国の商標・意匠の国際条約への加盟が加速化すれば、意匠・商標の出願を国際機関を通じてASEAN諸国へ纏めて行うことが可能となるため、意匠・商標に関する権利の保護を受け易くなることでしょう。


チュッパチャップス事件

 今月は、「チュッパチャップス事件」(知財高裁H22(ネ)第10076号 商標権侵害差止等請求控訴事件)について簡単に解説したいと思います。
この事件は、Yが営むインターネット上の仮想店舗(楽天市場)にXが所有する商標権の侵害商品 −「Chupa Chups」のロゴが付された帽子やコップ等− がZにより出品、売買されたことについて、Yが商標権侵害の責任を負うかどうかが争われたものです。原判決は、売買の主体は出品者Zであり、Yは売買の主体ではないものとして原告(商標権者X)の請求を棄却しました。かかる判決を不服としてXが控訴したのが本事件です。

控訴審において、Xは、Yは取引メールの配信や代金決済など具体的な売買行為に関与しており、Zとは非常に強い相互利用関係をもってYとZとが共同で商品の販売を行うものであると主張してきました。一方、Yは、自己の行為は取引の「場」を提供しているだけで、「商品の譲渡」を行ったのはあくまでもZであると主張し、たとえ侵害品が出品されていたとしてもYはその商品を削除する権限はなく自主的に停止させるか若しくは店舗ページ全体の掲載を停止することしかできないが、誤った判断により店舗ページ全体の掲載を停止しまうと、Yが出品者に対して損害賠償責任を負わされることにもなりかねない。特に商標権侵害の場合、類否判断が微妙なケースもあれば、許諾の有無、先使用、並行輸入など個別の事情が分からなければ侵害の有無を認識することもできないとの反論を行ってきました。
これに対し、裁判所は、ウェブページ運営者は出品者から営業上の利益を得ている以上無責任でいられるはずはなく、商標権者等から侵害の指摘を受けた場合、運営者は侵害の有無を速やかに調査するなどして適切な措置を取るべきで、それを怠った場合にはモール運営者も責任を負う場合があるとして、モール運営者の責任を一般論としては肯定しました。その上で、本件の場合、一定の合理的期間内に問題のページが削除されているとして、YがXの商標権を違法に侵害したとまでは言えないとして控訴棄却の判断をしております。

  この事件で、裁判所は、合理的期間として8日というのを基準として挙げておりますが、この基準はショッピングモールの規模や侵害の態様等によって変わることもあろうかと思われます。楽天市場では現在1億点以上もの商品が常時出品されておりますが、これらの商品について侵害が疑われた場合、それがライセンス商品か並行輸入品かといった事実を調査し、専門家と相談しながらわずか8日の間に最終決断を下すというのは相当慌ただしくなることが予想されます。よって、モール運営者としては、侵害の警告を受けた場合、流れ作業的に処理できる程度まで対応方法の仕組みを十分に確立しておき、尚且つ、各案件について誠実に対応していくことが必要になろうかと思われます。
 
 
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