パテントコラム

2021年1月

【Topic.1】世界特許出願 10年ぶり減 19年首位の中国「質重視」に

(2020年12月8日 日本経済新聞)

「世界知的所有権機関(WIPO)は7日、2019年の世界の特許出願件数が18年に比べ3%減の322万件だったと発表した。減少は10年ぶり。中国の出願件数が9%落ち込んだのが理由だが、件数は140万件と、米国の2倍以上に達している。米国との技術分野の覇権争いにも有利に働く可能性がある。」とのことです。
減少とは言え3%は意外に少ない気がしますが、19年ですからコロナ禍の前の年の数字ですので、20年はもっと落ち込む可能性があります。中国は9年連続の首位で、出願件数が減少しても世界の43%を占めているそうです。ちなみに2位が米国で4%増の62万件、3位は日本で2%減の31万件ということです。

【Topic.2】特許審判、オンラインで 来年法改正へ 一般の意見募集も

(2020年12月24日 日本経済新聞)

「特許庁は特許の効力を争う審判をオンラインでできるようにする。これまでは当事者が審判廷に出向いて公開で行っていた。新型コロナウイルスの感染拡大を機にデジタル化の機運が高まっていることに対応する。IT(情報技術)分野など高度な訴訟を念頭に一般から意見募集できる仕組みもつくる。」とのことです。
新型コロナウイルスの感染拡大が治まらない現状では当然の対応かと思います。一般の意見募集の仕組みは、特許権の侵害訴訟において、人工知能等の最先端の技術分野では裁判官の知識や理解が十分でないことを鑑みて、裁判所が必要と判断した場合に、訴訟の影響を受ける業界から意見を募集し、判断材料に使えるようにするという意図のようです。

【Topic.3】特許庁関係手続における押印の見直しについて

(2020年12月28日 特許庁HP)

新型コロナウイルスの感染拡大防止・予防のための新しい生活様式への移行等を目的として閣議決定された「規制改革実施計画」に基づき、特許庁では、これまで法令等により押印を求めていた手続についての見直しを行い、特許庁に提出する書面において、一部の手続を除き、押印を不要としました。
大枠で言うと、偽造による被害が大きい手続と、条約で署名等が求められている手続とについては押印を存続し、それ以外の手続については押印廃止としています。
昨年12月28日以降に提出する書面については、代理人選任届や新規性喪失の例外等の手続を初めとする666種が既に押印不要となっています。例えば新規性喪失の例外の適用に関する手続では、従来例外の適用を受けるための証明書に、出願人の記名及び押印が必要であったものが、記名のみで足りることになりました。また、共同出願の場合は出願人全員の記名及び押印のある証明書が必要でしたが、一部の出願人の記名がある証明書のみで可となっています。
さらに、発明者を変更する手続補正書に添付する宣誓書についても、従来は真の発明者とそうでない者との全員の記名及び押印が必要でしたが、真の発明者とそうでない者との全員の記名のみで足りるようになりました(方式審査便覧126.70)。
詳しく特許庁HPのトップページにある「特許庁関係手続における押印の見直しについて」及び「新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について」をご参照下さい。
その他の書類については、ホーム> 制度・手続> 法令・施策>法令・基準>方式審査便覧の「令和2年12月28日付『方式審査便覧』の改訂について」をご参照ください。