パテントコラム

2021年3月

【Topic.1】特許料 印紙予納を廃止

(2021年2月17日 日本経済新聞)

特許庁は、特許印紙で事前に料金を収めておく予納制度を、早ければ1年以内にも廃止するとのことです。印紙予納が廃止された場合、予納は、現状でも可能な口座振替等で行うことになります。

印紙予納は、印紙を郵便局等で対面で購入して特許庁の窓口に持参することが原則であり、口座振替に比べて対面での手続が多いそうです。

印紙予納の廃止により、対面手続がより少ない口座振替等への移動が促進されるため、今の世情に合っています。しかし、料金支払いの選択肢が減ることになります。特許庁の収入は、2019年度の実績で約1200億円で、およそ75%が印紙によるものだったそうです。

その他

特許庁ウェブサイトのトップページに、新しい「重要なお知らせ」のリンクが張られています。「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う対応等について(緊急事態宣言解除後の対応 令和3年3月22日更新)」というものです。尚、URLは、下記の通りです。
https://www.jpo.go.jp/news/koho/info/covid19_shutsugan.html

種々のテーマが取り上げられていますが、ここでオンライン面接について少しご紹介したく存じます。
特許庁では、昨年秋以降、Webアプリケーションを利用した面接(オンライン面接)も行われています。当方は、オンライン面接を、出願人側に赴いて一度行ったことがあります。その際、オンライン会議の設定は、審査官側の主導で、特許庁の契約先のアプリケーションを使用されていました。出願人側には、予め知らせたメールアドレスに案内が来ており、ウェブブラウザ等、通常のオンライン会議の用意で足りたようです。尚、噂では、審査官により、スカイプを使う場合もあるようです。

東京都等に緊急事態宣言が出てた頃、多くの審査官は在宅勤務をなさっており、しかも出願人等との連絡は、たまの来庁時での電話連絡が原則で、事実上、オンライン面接をお願いし難い状況でした。しかし、緊急事態宣言は解除されましたので、その後の勤務形態等把握しておりませんが、重要案件は、オンライン面接の申し出をご検討されてはいかがでしょうか。工夫すれば、面前での技術説明に近い説明が、東京まで出向くことなく、審査官に直接できます。尚、オンライン面接は、申し出れば必ず行ってもらえるわけではありません。また、実際には、オンライン面接を受けるか否か、受けるとしてどのオンライン会議のアプリケーションを用いるか等々、その審査官の方針によるところが多分にございます。

ところで、弁理士でない者が特許出願代理業務を行うことについて疑念をもち、調べたところ、信託制度によれば、特許を受ける権利を有する者がその権利(信託財産)を信託すると、特許を受ける権利は受託者に引き渡され、受託者は出願人として出願手続を行うことができるようです。そして、一定の目的(信託目的)に従い,受託者(自身)または第三者(受益者)のために,受託者がその財産を管理処分するという仕組みのようです。従って、株式会社パソナ知財信託は、特許を受ける権利の所有者からその権利を信託された場合、自身が出願人となって出願手続を行うことが可能ということですが、弁理士としては少し複雑な思いです。