2018年1月
【Topic.1】特許紛争 変わる構図
(2018年11月6日 日経新聞)
あらゆるモノがインターネットにつながる「IOT」が普及してきたことに伴い、通信会社とメーカーといった異業種間での紛争が増えているようです。つまりモノとインターネットとが切り離せない関係となるに従い、モノを作っている会社が、標準必須特許(標準規格を満たす製品を造るためには必ず使わなくてはいけない特許)を取得する通信会社からライセンス交渉を持ちかけられたり、訴えられたりする事例が増えているとのことです。
これがメーカー同士であればクロスライセンスを締結することにより解決したり、当事者間でのライセンス料の相場感があったりするので解決し易い部分もあるのですが、異業種間となると解決が図りにくいという点が問題となっています。
特許庁ではこれをパテントトロールに次ぐ脅威と捉え、「標準必須特許」を巡る紛争を円滑に解決するためのガイドラインを作成しています。
【Topic.2】中小企業の特許取得費用を半分に
(2018年11月25日 日経新聞)
特許庁は、2019年を目途に中小企業の特許取得費用を半額にするとの方針を示したとの記事が掲載されておりました。これにより特許取得にかかる費用は主要国の中で最低水準になるとのことです。今までも条件を満たす中小企業に対しては特許取得費用の軽減策がとられていましたが、手続が煩雑で使い勝手が悪かった点を改善し、新制度では、全ての中小企業を対象とし、審査手続についても簡単にするそうです。
これにより微減傾向にある特許出願件数を増やす狙いがあるようですが、収入減を抑えるために大企業向けには値上げを検討しているとのことで、その値上げ率の方も気にかかるところです。いずれにしましても、全体の出願件数がそう簡単に増加するとも思えませんが、中小企業の割合が増加することは日本の産業構造からみて望ましいことかと思います。