パテントコラム

2018年7月

【Topic.1】店舗のデザインが意匠登録の対象に

(2018年5月20日 日本経済新聞)

特許庁は、デザインを保護するための法律である意匠法を改正し、意匠登録の対象に店舗の内外装を加える方針のようです。
現在の意匠法では、自動車や家電製品等の所謂、動産のみが保護の対象となっていますが、優れた店舗の内外装のデザインについても登録を認めることで、海外企業等の模倣を防止して日本のブランド力の向上を後押ししたい意向のようです。
今回の改正の背景には、米国のアップル社やスターバックス等においては特徴的なデザインの店舗もブランドづくりの一躍を担っていると考えられること、米国や欧州では店舗の内外装もすでに知的財産としての保護の対象になっていること、店舗のデザインを巡って近年日本国内で紛争*が目立っていること等があるようです。
この改正案について特許庁は2019年の通常国会への提出を目指しているようです。

<*店舗デザインを巡る紛争>

喫茶店のチェーンのコメダ(名古屋市)が、和歌山市の喫茶店運営会社に対して、店舗の外観が類似しているとの理由により、不正競争防止法に基づいて店舗の使用差し止めと損害賠償を求めた事件(2016年)等

【Topic.2】農水省 地理的表示の相互的な保護強化へ

(2018年5月9日 SankeiBiz)

政府は、地理的表示(GI)の保護制度*について、日本ブランドの保護を強化するために、ASEAN(東南アジア諸国連合)各国との相互的な保護の拡大を検討しているようです。そのような相互的な保護が認められることになれば、日本で登録したGIが、自動的に相手国でも保護されることになります。
農林水産省は、昨年3月にはタイとの間で、また、昨年6月にベトナムとの間で、それぞれ、相互的な保護に向けた協力を始めることで合意しており、今後は、GIの登録制度をすでに導入しており輸出増が見込まれるインドネシア等と間で、相互的な保護の協議を進める方針のようです。
ASEANは、農林水産物・食品の輸出額の規模・伸び率ともに大きい有力な市場(2017年の輸出額は前年比18.9%増の1399億円)ですが、そのようなASEAN諸国の中で、「コシヒカリ」と表示した外国産の米や「ジャパニーズマスクメロン」と表示した外国産のメロン等が出回っている事態に歯止めをかけたい意向のようです。

<地理的表示制度>

酒類・農産品等の品質、その他の特性がそれらの商品の地理的な産地に主として帰せられるものであって社会的評価が得られている場合に、それらの酒類・農産品等の産地名(地域ブランド)を独占的に名乗ることを可能とする制度。