2018年9月
【Topic.1】新素材、AIで開発
「旭化成や住友化学など化学メーカー8社は、東京大学などと組み、公開されている特許や論文の情報を活用し、人工知能(AI)で新素材を開発する仕組みを作る」とのことです。具体的には、大手の競合会社が協調可能な分野で協力し、公開されている膨大な特許や論文、材料の情報について、元素の組合わせや合成の条件などを整理してAIに学習させてデータベースを構築し、参加するメーカーが自社所有のデータと組合わせて、新素材開発で求める物性を打ち込むことにより、AIが必要な材料を自動的に探し出し、提案する仕組みとのことです。すでにAIを用いた化学品の開発は「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」と呼ばれ、素材(材料)の強度を含む特性など種々の情報を集約し、理想的な組合わせを探ってきたところ、今回のようにメーカーが更なる情報を取り込むことにより、必要な物性をより効率よく調べることができる、とされています。この仕組みは、2019年度から運用予定とのことです。
【Topic.2】知財収入、東大が首位 文科省、66国立大学で集計
「2016年度に特許など知的財産権による収入額が最も多かったのは東京大学」であり「収入額別では、東大が東大発スタートアップ企業の成長などもなり8億1千万円でトップ、再生医療への応用が期待されるiPS細胞関連の特許を多く持つ京大が5億4千万円で2位だった」とのことです。地方大学では徳島大学が脳卒中後の体のまひ軽減の治療法開発が貢献し、1億円を突破したとのことで、研究成果を企業に売り込む工夫次第で、財政状況が厳しい地方大学でも自主財源を確保できることを示す結果となった」と記事は報じています。
なお、文科省の以下のウエブページに掲載された「大学等における産学連携等実施状況について」によれば、平成28年度、大学が民間企業から受け入れた研究資金等(共同研究・受託研究・治験等・知的財産権等収入額)は約848億円(前年比10.9%増)、民間企業との大型研究(1件当たり1,000万円以上の共同研究・受託研究)において、「研究費受入額」は約273億円(前年比12.7%増)、「研究実施件数」は1,093件(前年比12.8%増)とのことです。大学の研究成果の活用推進に資する技術移転機能の最適化」についても文科省主導で活発に議論がなされているようです。