パテントコラム

2019年3月

【Topic.1】「元号」に係る商標審査基準の改正

新元号が発表されると、おそらく元号に関する商標出願がたくさん出てくることが予想されます。平成への改元当時も一日に30件もの出願があったようですので、当時よりも知財への関心が高くなっている今回はそれを上回るかもしれません。
そのようなことから特許庁は今年1月30日に商標審査基準を改正し、これまで「現元号」は登録できないとしていた審査基準を「元号」は登録できないこととしました。なぜなら、旧審査基準のままでは「平成」の元号は改元と同時に「現元号」ではなくなってしまって、「平成」が登録できると解釈できる余地があったためです(現に「明治」や「大正」などはたくさん商標登録されています。)。
なお、発表された新元号は5月1日までは上記の「元号」には当たりませんので、発表されてすぐに出願すれば出願時点では上記審査基準に該当するものではありません。しかしながら元号に該当するかどうかの判断は査定時を基準になされますので、すぐに出願したとしても審査に着手される頃には審査基準には該当しているはずです。従って、新元号が商標として登録になることはありません。
ただし、ここに言う「登録にならない」というのは元号のみからなる商標(「平成」「昭和」など)や元号に識別力の無い文字を結合した商標(指定商品を「まんじゅう」とした商標「平成まんじゅう」など)のことであり、識別力ある文字と結合させたもの(例えば「平成グランツ」など)や、一般に認知されているようなもの(例えば「大正製薬」や「明治生命」など)は登録できる余地があります。
新元号が発表されると、登録できるかどうか微妙なギリギリのラインを狙った商標も少なからず出てきそうで、それらがどのように審査されるのか少し楽しみな気もしています。