パテントコラム

2020年2月

【Topic.1】GI「西尾の抹茶」登録取り下げへ

(2020年2月2日 日本経済新聞)

西尾市の西尾茶協同組合が、地理的表示(GI:Geographical Indication)保護制度*に登録されている「西尾の抹茶」を対象から外すように、農林水産省に申請する方針を決めたようです。「(登録されていても)流通面にメリットがない」との理由に依るようで、GI登録の取り下げの申請は全国で初めてのことです。
「西尾の抹茶」は、“渋味”が少なく“うま味”が強いのが特徴で、生産に手間が掛かり、出荷価格は1kg当たり約3千円にもなるようです。
近年、抹茶は、世界的に人気のあるものになってきており、西尾茶協同組合は、販路を拡げるべく、西尾市産の抹茶のブランド力の向上に努めています。
しかしながら、GI登録の生産要件を満たした製品では、市場で求められる1kg当たり千円程度の価格帯とするのが困難であるため、低価格の製品も取り扱いできるように、今般の取下申請の決定に至ったとのことです。
西尾茶協同組合の関係者によれば、「GI制度自体の周知がすすんでおらず、(生産要件を満たした高価な製品しか「西尾の抹茶」と表示できないため)逆に販路が狭まってしまった」とのことです。
GI制度は、主として日本の農産物を保護する目的で2015年に創設された制度ですが、当業者や消費者まで滲透していないことが“あだ”になってしまったようです。
なお、西尾茶協同組合は、取り下げ申請と同時に、乾燥させた茶葉をフレーク状にした製品について「西尾の碾茶(てんちゃ)」のGI登録を申請する予定のようです。

*GI保護制度の詳細については農水省のHP(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/)をご参照下さい。