2020年9月
【Topic.1】中小の知財保護へ今秋指針 政府、大企業の不正防止
「政府が、中小企業の知的財産や技術を保護するための指針を今秋にも提示することがわかった。取引先の大企業が中小の知財を不当に取得して利用するのを防ぐのが狙い。」とのことです。
実際に,大企業による中小企業の工場見学の後に、中小企業のノウハウが盗用されたり、大企業と共同開発した技術につき無断で権利を取得されたりする問題がこれまで発生し,特に2018年から公正取引委員会が行った調査では、製造業の企業間取引で知的財産権の無償譲渡やノウハウの開示を強要されるなどの問題事例が多く存在し、独占禁止法で禁じる「優越的地位の乱用」にあたる事例も含まれる、と報告されています。そこで、中小企業庁は9月24日、知的財産取引に関する有識者検討会を開き、中小の知財や技術を保護するための指針案を提示したとのことです。
大企業による知財の不正取得の対策として、秘密保持契約を結ぶことなどを明記し、対等な条件で協業できるよう、取り交わす契約書のひな型も策定し、10月にはガイドラインを正式決定する予定のようです。企業との取引で立場が弱い中小企業が、大企業と対等な条件で協業できるようになり、技術開発が促されることが期待されます。
【Topic.2】模造品見極めAIを導入
「中古ブランド品流通大手のコメ兵は25日、模造品を見極める人口知能(AI)を使うシステムを店舗に導入する。」と発表しました。「買い取り品の金具や素材を小型カメラで撮影し、蓄積されたデータからAIが『にせ物』『本物』を鑑定しに伝える」とのことで、本物か、にせ物かを見極める「真贋判定」に加え、「型番判定(モデル名・型式などの判定)」も可能なAIを独自に開発した、とのことです。
財務省の調査によれば、2019年の知的財産侵害品の輸入差し止め点数は100万点を超えており、ブランド品などを買い取り、リユース品として販売する者にとっては、にせ物の流通を排除することは重要な課題です。現時点において、コメ兵では、熟練の鑑定士の方が正確に判定するとのことですが、今後データを蓄積し、AIによる真贋判定機能が高まれば、段階的に全所有店舗での利用を広げる予定とのことです。