パテントコラム

2021年5月

【Topic.1】知財侵害の賠償金補償 損保ジャパン

(2021年4月29日 日本経済新聞)

「損害保険ジャパンは、企業が意図せずに第三者の知的財産権を侵害した場合に生じる賠償金を補償する保険を4月に発売した。全世界の知財トラブルを対象にする。損害が高額になる米国特許侵害の訴訟が増加している中国も対象にすることで、企業の知財トラブルへの備えを手厚くする。」とのことです。
損保ジャパンのニュースリリースによると、対象となる知的財産権は、特許権、商標権、意匠権、実用新案権で、オプション補償として、契約上の賠償金(知的財産権に関するライセンス契約等で約定された事項に起因する賠償責任)、不正競争防止法違反による賠償金(不正競争防止法違反に起因して、被保険者が負う法律上の賠償責任)、喪失利益(製品やサービスの使用差し止め等を命じられた際に被る喪失利益)、回収費用(製品を市場から回収するために要する費用)、が挙げられています。
国内での知財訴訟費用保険は既に2016年から販売しており、今回は全世界を対象とした商品となっています。保険料は高そうですが、損保ジャパンのHPを見たところ、5月22日現在でニュースリリース以外の情報はありませんでした。

【Topic.2】特許収入 三重大が2位 19年度の大学・高専

(2021年4月29日 日本経済新聞)

「三重大学は2019年度、研究者1人あたり特許収入が10万6千円となり全国の大学や高等専門学校の中で京都大学に次いで2位となった。文部科学省がこのほどまとめた。三重大は具体的な内容は公開していないが、企業と共同研究を進めた治療法を巡る医療関連の特許収入が多かったと説明している。」とのことです。
意外と言えば失礼ですが、特許収入の総額や研究者の総数が大学・高専ごとにまちまちですので、研究者1人当たりとなるとこのような結果にもなる訳です。ちなみに東京大は3位、名古屋大は12位とのことです。

【Topic.3】特許料が2022年度にも引き上げに。その理由とは?

(2021年4月17日 ニュースイッチ)

「特許庁は特許権の取得・維持に必要な料金(特許料)を全体的に引き上げる。現在、権利の存続期間に応じて四つの料金テーブルが存在するが、5―6月にも有識者会議を発足し全面的な改定を議論する。IoT(モノのインターネット)などIT分野は技術革新が激しく、これらの特許権の入れ替わりも早いことから、実態に即して見直す。今秋にも政令を改正し2022年度の施行を目指す。」とのことです。
この値上げは、特許特別会計の決算余剰金(歳入歳出の差額)の推移が、2013年をピークに2019年まで下降続きで、6年連続の赤字となっていることも背景にあるようです。
この改正案は、本年5月21日に「特許法等の一部を改正する法律案」(法律第42号)として公布されました。具体的な金額は今後定められる政令で決定しますが、この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において定められますので、来年の4月から施行となりそうです。
なお、公布された改正法では、料金体系見直しに関するものの他、審判口頭審理のオンライン化(ウェブ会議システムの利用)、特許料等の印紙予納の廃止、料金支払方法の拡充(クレジットカード支払を可)、災害等の理由による手続期間徒過後の割増料金免除、海外からの模倣品流入への規制強化(意・商)等についても改正されています。詳しくは特許庁HPの新着情報/5月21日/特許法等の一部を改正する法律(令和3年5月21日法律第42号)をご参照ください。