2021年9月
【Topic.1】ゲーム『白猫プロジェクト』めぐる訴訟 任天堂とコロプラ和解
「スマートフォン向けの人気ゲーム『白猫プロジェクト』をめぐり、大手ゲームメーカーの任天堂が特許権を侵害されたとして、ゲームを開発したコロプラに損害賠償を求めていた裁判で、コロプラ側が33億円を支払うことで和解しました。」とのことです。
任天堂が侵害されていると主張した特許権は、タッチパネル上に表示されたスティックを触る操作方法など6件で、訴え当初(2017年)、任天堂は44億円の損害賠償を求めていましたが、3年経っても決着がつかない事態を重くみて、2021年に賠償額を96億円にアップした経緯があります。「白猫」だから「96(クロ)」だという憶測も巷にはあったようです。
コロプラからすれば、当初の44億円からしても減額になり、33億円にはライセンス使用料も含まれて今後もゲームの配信は継続できるようですので、最悪の事態は回避できたと言えそうです。ただコロプラの業績自体は低下しているようですので、33億円の損失を回収して持ち直せるか注目です。
【Topic.2】特許料、来年度上げ 最大5500円 中国文献増で審査費膨張
「知的財産の保護に必要な特許料が2022年度に上がる。1件あたり年間最大5500円の引き上げを予定しており、1993年度以来29年ぶりの増額になる。中国での特許出願と文献の急増に伴い、特許庁による審査のコストが膨張していることが背景にある。」とのことです。
審査対象となる関連文献は、世界全体で2010年では138万件だったものが、2019年では360万件まで増加し、特に中国関連の文献は270万件と9年で5倍以上に増え、世界全体の7割を占めるそうです。これに人工知能(AI)を初めとする高度で専門的技術の分析の増加も加わって、審査の経費は2割以上膨らんでいるようです。
改定後の特許料の金額は、以下のようになる予定です。請求項数による加算分も増額となっています。
この料金改定は来年(令和4年)4月1日から実施される予定です。
第1年から第3年まで | 毎年2100円+(請求項数×200円)から |
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毎年4300円+(請求項数×300円)へ | |
第4年から第6年まで | 毎年6400円+(請求項数×500円)から |
毎年10300円+(請求項数×800円)へ | |
第7年から第9年まで | 毎年19300円+(請求項数×1500円)から |
毎年24800円+(請求項数×1900円)へ | |
第10年から第25年まで | 毎年55400円+(請求項数×4300円)から |
毎年59400円+(請求項数×4600円)へ |
【Topic.3】漏洩リスク、身内に 積水化学元社員に有罪判決 『内部関与』47%進む厳罰化
「積水化学工業の機密情報を中国企業に漏洩したとして、不正競争防止法違反罪に問われた元社員に対し、大阪地裁は18日、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。企業の機密情報の不正な持ち出しが後を絶たない中、漏洩元は現役従業員や中途退職者など内部関係者が4割超に上るとの調査結果もあり、企業側に管理体制強化の必要性を改めて突きつけている。」とのことです。
判決内容は、懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円となっています。
独立行政法人「情報処理推進機構」(東京)が2021年3月に公表した情報漏洩に関する調査によれば、回収2175社のうち、機密情報の漏洩があった可能性が高いと回答した企業は113社で、漏洩の発生ルートは、「中途退職者」や「金銭目的などの動機を持った現職従業員」などの内部関係者が約47%で、「サイバー攻撃等による社内ネットワークへの侵入」の8%を大幅に上回る内容だったそうです。
同調査では、「特に何もしていない」と回答した企業も約25%あったそうです。身内を疑うようで心苦しいですが、漏洩が発生した際の損害は取り返しがつきませんので、会社の知的財産を守るため、社員に対して何が機密であって漏洩した場合はどのようなリスクがあることを明確に知らせる必要があると思います。