パテントコラム

2024年2月

【Topic.1】初代ミッキー 米で著作権切れ 二次創作可能に

(2024年1月1日 日本経済新聞)

「米ウォルト・ディズニーの主要キャラクター『ミッキーマウス』の初代版が、米国では2024年1月1日からパブリックドメイン(公共財産)として利用できる。著作権の保護期間が23年末で切れるためで、映画やゲームでの二次創作が可能になる。」とのことです。
初代ミッキーは現在のミッキーよりも手足が細長く、手袋や靴もないといった違いがありますが、既に米国では初代ミッキーの格好をした殺人鬼が登場するホラー映画が作成されているそうです。ただこの著作権切れは米国での話で、国ごとに保護期間が異なりますので、日本での利用には注意が必要です。というのも、日本では既に2020年に保護期間は終了しているという説や、当分先(2052年)まであるという説等が混在しており、明確でないからです。また、著作権切れであったとしても、名前や図柄が日本で商標登録されていれば、商標的な使用はできないことになります。

【Topic.2】AI、漫画の「強力助っ人」に 作画や着色を自動化

(2024年1月16日 日本経済新聞)

「漫画の制作現場で生成AI(人工知能)の活用が広がっている。線画の作成や着色を自動化し、制作期間を10分の1に短縮できる技術も登場した。『ウェブトゥーン』と呼ばれるスマートフォン画面に最適化した縦読み漫画の人気が高まるなか、担い手不足の解消にも期待が集まっている。」とのことです。
タブレットの画面にキャラクターを含むラフな下書きを描いて生成AIに読み込ませると、生成AIが自動的に縁取りを行って清書し、着色も行ってくれるそうです。作者は生成AIが作成した複数の候補の中から好みのものを選択すれば足り、結果制作時間の大幅な短縮化に繋がっています。
従来の漫画の制作現場では、主要キャラクターのみを作者が描き、背景やその他大勢はアシスタントが描き足すというやり方が行われていたようですが、生成AIが人間のアシスタントにとって代わるどころか、アシスタント以上の作業ができるようになっています。生成AIの学習データは著作権を考慮したフリー素材を用いているそうですが、キャラクターまで生成AIに作成させるとなると、キャラクターの創作性は薄まり、作者はストーリーや演出に工夫を凝らさないと差別化が難しくなりそうです。

【Topic.3】ユニクロ、シーイン提訴「バッグ模倣」

(2024年1月17日 日本経済新聞)

「ファーストリテイリング傘下のユニクロは16日、『ラウンドミニショルダーバッグ』の模倣品の販売が不正競争防止法に違反するとして、販売停止と損害賠償を求めて、中国系のネット通販会社『SHEIN(シーイン)』の運営会社を提訴したと発表した。ユニクロが模倣品の販売で運営企業を提訴するのは、国内では初めて。事業への影響が大きいとして、訴訟に踏み切った。」とのことです。
シーインはここ数年で急成長した通販会社ですが、「クロムハーツ」や「H&M」等から著作権侵害や商標権侵害で米国等において訴えられており、いわゆる「パクリ疑惑」が絶えない会社のようです。いかにも中国系企業らしいですが、買う人がいる限りこのようないたちごっこは終わらなさそうです。