パテントコラム

2024年7月

【Topic.1】海外特許の取得、中小に最大2年補助

(2024年6月12日 日本経済新聞)

知的財産権は国ごとに独立しています。すなわち、日本で特許を取得したり商標を登録したとしてもそれだけでは外国で権利として成立せず、このため、特許権や商標権等は、保護を求める国ごとに出願手続をし、権利を取得する必要があります。
企業の海外進出先での特許権や商標権の取得は海外での事業展開を進めることに有益であるとともに、商標等を他社に先取りされ自社ブランドが使用できなくなるリスクを回避できます。
しかしながら、外国出願費用等の海外で必要となる知的財産活動費は高額であるため、中小企業にとっては大きな負担となっています。
このような事情から、特許庁は、補助金制度を設け、中小企業の海外での特許等の取得を支援しています。
この特許庁の補助金制度は今まで「単年度」で支援する制度でしたが、日本経済新聞によると、年度内に海外への出願を完了するのが難しいとの声を受け、特許庁は、本年度、海外出願を「複数年度」で後押しする補助金制度を整備したとのことです。
この新たな補助金制度は、最大で2年支援できるような制度となっており、今年5月末から支援対象の公募が始まっています。具体的には、海外で特許等を出願するのに必要な手数料や翻訳費用等の経費の最大2分の1が補助され、支援の限度額は特許出願について150万円、意匠や商標出願について60万円、とのことです。
特許庁のHPによると、支援の対象は、全国の中小企業であり、地域団体商標の外国出願については商工会議所、商工会、NPO法人等も応募でき、応募の窓口は、各都道府県等中小企業支援センター等の所定の補助事業者とのことです。
特許庁による補助金制度による支援を受けるには、まず、日本国特許庁へ出願することが必要であり、この出願の後、所定の申請期間に所定の補助事業者に対して補助金を申請し、決められた交付条件をクリアしているか審査がなされ、補助金を受けられるか決定されます。その後、諸外国へ外国出願を行い、必要経費が判明した後、申請により補助金額が確定し、補助金が交付される、といった流れになります。
支援の対象や要件、補助対象経費、補助率・上限、支援の流れ、問い合わせ先(補助事業者)などの詳細については、
特許庁のHP(「特許庁ホーム> 支援情報・活用事例> 中小企業向け情報> 外国出願に要する費用の半額を補助します」のページ)等に掲載されていますので、ご覧ください。

外国出願に要する費用の半額を補助します|特許庁
https://www.jpo.go.jp/support/chusho/shien_gaikokusyutugan.html

中小企業等海外展開支援事業費補助金(令和6年度 海外権利化支援事業)|一般社団法人発明推進協会
https://www.jiii.or.jp/kaigai-hojo/index.html