2024年10月
【Topic.1】輸入差し止め1.8万件 知財侵害で、1~6月
「財務省は6日、全国の税関が2024年1~6月に知的財産権の侵害を理由に偽ブランド品などの輸入を差し止めた件数が1万8153件だったと発表した。前年同期比で16.2%増え、9年ぶりに過去最多を更新した。」とのことです。
仕出国(地域)別の輸入差止件数では、中国が全体の81.0%(14,704件)で最多を占め、次いでベトナムが8.9%(1,621件)、マレーシアが3.1%(566件)と続いています。ちなみに名古屋税関での輸入差し止めは上半期3割増しだそうです。
【Topic.2】「パルワールド」を提訴 任天堂・ポケモン 特許侵害巡り
「任天堂は19日、ポケモン(東京・港)と共同で、ゲーム開発のポケットペア(東京・品川)に対して特許権侵害訴訟を東京地方裁判所に提起したと発表した。ポケットペアが1月に発売したモンスター収集・育成ゲーム『Palworld(パルワールド)』が特許を侵害しているとして、侵害行為の差し止めと損害賠償を求める。」とのことです。
パルワードのモンスターがポケモンのモンスターに似ているという話は確かにネットニュース等で話題になっていた記憶があります。最近ではスマートフォンゲーム「メメントモリ」を開発・運営するバンク・オブ・イノベーションに対し、セガが自社の特許権を侵害されたとしてゲームの差し止めなどを求める訴訟を起こしています。ゲーム業界は現実世界の戦いでも忙しそうです。
【Topic.3】偽きのこの山に断固ノー 明治、模倣品対策を強化
「巧妙化する偽物に断固ノー-。明治は24日、海外展開を進めるロングセラー商品『きのこの山』の模倣品が相次いでいるとして、知的財産保護の取り組みを強化すると発表した。名前だけでなく、形状も立体商標として登録しており、商標権を侵害する菓子や製品の輸入差し止めや販売中止を徹底して求めていく。」とのことです。
菓子に限らず、今年3月に明治が発売した「きのこの山ワイヤレスイヤホン」は、中国で製造された模倣品がインターネットサイトで販売されて、明治が輸入を阻止した実績もあるようです。この「きのこの山」型のワイヤレスイヤホンには興味があったのですが、2万9800円の価格でも用意された3500台が発売後10分で完売したそうです。
【Topic.4】日本企業 知財黒字21倍 過去20年で、昨年3兆円 HVなど車技術けん引
「日本企業が知的財産で稼いでいる。海外とのやり取りを示す国際収支統計で知的財産権等使用料の黒字額は2003年から23年の20年間で21倍に増えた。けん引するのは自動車のライセンス使用料だ。」とのことです。
知的財産権等使用料の収支黒字は、03年の1491億円から23年の3兆1508億円と20年間で21倍に増え、このうち産業財産権等使用料の黒字は、03年の4830億円から、23年には4兆9306億円と10倍に増加したそうです。一方、著作権等使用料は赤字基調が続いているようです。
産業別では自動車を含む輸送用機械が全体の46%を占めており、中でもガソリン車やハイブリッド車に関連する技術が大半だそうです。ただ輸送用機械の場合、日本で開発した親会社の技術を海外の子会社で使う「親子会社での取引」が87%を占めているそうで、結局身内同士のやり取りが増加に寄与しているのが現状のようです。
また、知財黒字といっても利益を享受しているのは特許の保有数が圧倒的に多い大企業でしょうから、中小企業が実際に知財でどれだけ稼いでいるのかを考えると、単純な数字で喜ぶことはできないと思います。