パテントコラム

2025年1月

【Topic.1】生成AIに関する2記事紹介
動画AI「ソラ」で普及期へ/著作権保護「法整備を」生成AI巡り新聞協会

(2024年12月11日/2024年12月19日 日本経済新聞)

11日の記事は、米オープンAI社が、文章から動画を作る生成AIの新サービス「sora(ソラ)」の一般提供を開始したことを紹介しています。
オープンAIといえば「Chat GPT」の開発元として一躍有名になりましたが、今回の「sora」は、「Chat GPT」のように文章を提供するものではなく、言葉で指示を出すとその指示に従った20秒程度の短い動画を生成するというものです。今までは、クライアントの指示に従ってクリエーター達が頭を悩ませながら作業してきた分野です。それを生成AIが代わって作業できるとなれば当然、クリエーターの仕事が減ることになるわけで、とある試算では米国での専門人材の雇用が2割奪われるとも言われています。動画の素材となるデータにどのようなものが用いられているのか開発元は明らかにしておらず、クリエーター側の疑念を残したままのスタートとなるようです。
19日の記事は、ネット上の記事などを生成AIを使って要約する「検索拡張生成(RAG)」サービスを例として、報道コンテンツの無断利用の懸念を払しょくできるような法整備を新聞協会が求めているというものです。無秩序なデータ収集は著作権侵害の懸念があるだけでなく誤情報の拡散に直結する問題ともなりますので、そのような声が上がるのは当然のことです。
11日の記事は動画に関する生成AI、19日の記事は文章に関する生成AIの記事ですが、いずれも素材の著作権保護、成果物の著作権の帰属の問題などが基本的な懸念事項として共通していることと思います。しっかりとした法整備をしてくれないと我々専門家としても相談に持ち込まれたときに困ってしまうので早急な対応がなされることを期待しています。