パテントコラム

2025年2月

【Topic.1】米2社、中国AIを調査 ディープシーク、データ不正利用か 非公開モデル、学習に使用

(2025年1月30日 日本経済新聞)

「中国の生成AI(人工知能)スタートアップ、DeepSeek(ディープシーク)が米オープンAIのデータを不正利用した疑いが浮上した。米ブルームバーグ通信が28日に報じた。オープンAIは米政府や提携する米マイクロソフトとともに調査を進めていると明らかにした。」とのことです。
ディープシークは、オープンAIの「Chat(チャット)GPT」に匹敵するか、或いはそれ以上の性能を持つ生成AIとして注目されていましたが、反面、低コスト且つ短期間での開発が、オープンAIの不正利用に基づくものではないか、と疑問視されていました。今回の報道で不正疑惑がより濃くなった格好です。そもそもオープンAIが、自社の生成AIが出力するデータを使って競合するAIモデルを開発することを認めていないのにもかかわらず、ディープシークは、既存のAIモデルが出力するデータを用いて新たな生成AIを開発する「蒸留」と呼ばれる手法を用いたと指摘されています。
ディープシークについては登場以来、この不正利用を含む様々な問題点が指摘されており、特に取得された個人情報が中国に流出する懸念も強まっていることから、ディープシークの使用を制限している国や企業も現れています。中国の法律には、国民や企業などに自国に利する情報工作への協力を義務づける「国家情報法」がありますので、使用を躊躇するのは当然の流れとも言えます。
そういえば日経か中部経済かの新聞に載っていましたが、ディープシークが登場した際、記者が「天安門事件」「習近平」についてディープシークに質問したら「対不起」(すみません)という文字が出で画面がフリーズしたそうです。生成AIまで監視下におくとは、中国恐るべし、です。

【Topic.2】「AIが発明者」認めず 一審に続き知財高裁も「特許、人に限る」

(2025年1月31日 日本経済新聞)

「人工知能(AI)を発明者とする特許出願が認められるか争われた訴訟の控訴審判決が30日、知財高裁(清水響裁判長)であった。特許を受けられる発明者は自然人に限られるとした一審・東京地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。」とのことです。
自然人以外の発明者を認める根拠規定がない現行法からすると当然の帰結ですが、近年のAI技術の急激な発達を鑑みて、見直しの動きも出ているようです。ドイツでは、AIを使った自然人の名前を発明者として認めた判例があり、日本でもAIを利用した開発者に特許権を認める方向で検討に入ったとされています。

【Topic.3】特許技術でつくる!?「驚きの本格チャーハンレシピ」動画(前編・後編)を公開!

(2025年1月24日 特許庁HP)

新聞記事ではありませんが、特許庁のHPで、幅広い層に知的財産を楽しく学んでもらうために、YouTubeチャンネル「JPOちゅーぶ」で配信している動画を見つけました。
これは、特許庁職員が特許技術(既に権利が消滅しているもの)を使って「パラパラ食感」の本格チャーハンを調理する動画で、味の素(株)の特許第4085591号「炒飯用飯の炊飯方法及び炒飯の製造方法」に基づくレシピでした。請求項1は、「生米に対して、卵黄を0.5~15重量%含むとともに乾燥卵白を0.2~5重量%含む炊き水により生米を炊飯することを特徴とする炒飯用飯の炊飯方法。」で、前編が実際に特許庁の2人の審査官補が発明の詳細な説明のレシピに従ってチャーハンを作って試食するまでの内容で、後編が特許の内容を解説する内容となっていました。
特許庁も色々と考えるものです。今後も動画がアップされるようですので、興味のある方は、
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をご覧ください。